06
2階の跡部チームはたくさん絵の飾ってある大きな部屋を調査していた。
飾ってある絵は古いが、みな高そうな絵ばかり。

「おーすげーな、この絵。」
「なになに、がっくん絵の価値がわかるの?すげーC−」
「んなわけねぇーだろ。」
「跡部のクセにウゼー!」
「あーん?負け犬の遠吠えだな。」
「クソクソ!じゃぁこの絵誰が書いたか当ててミソ!」
「そんなの俺がしるか。」
「なんだあとベーもわかんないのか。」
「こんな絵見たことねぇーんだよ。どうせ無名の画家の絵だろ。」
「ふーん、なんだ跡部わかんないわけじゃないんだ。」
「先輩達。絵の論議もほどほどにしていただかないとここ出られませんよ?
まったくテニス以外ではほんと能無しなんですから。」
「クソクソ日吉今なんて言ったコノ野郎!?」
「日吉ヒデー!!」
「すみません俺嘘はつけないたちなんで。なにか問題でも?」
「テメェー」

「今は・・喧嘩、を・・・している場合じゃ・・・ありません・・・」

樺地の一言で一気にその場が静まり、宝探しが再開された。


「あ゛−!!なんも見つかんねぇよ!」
「なら次の部屋に行きましょう。」

あらかたこの部屋を見終わったり何の収穫も得られないまま
そう日吉が切り出したときだった。
今までなんでもなかった部屋の中に、急に背筋が冷たくなるような空気が流れたかと思うと、日吉の足首に何かが巻きついた。

「ッ!?」
「どうした!?」

見ると、日吉の足には物陰から延びる長い髪の毛が。
そして髪の毛をたどるように、ゆっくりと物陰から這い出てくる血だらけの女。

「なっ!?」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「出たぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「・・・霊、です!」

突然のことで動けない4人。

しかし、一度霊に直面している跡部だけは以外にも冷静にラケットを振り上げ、
渾身の力でテニスボールをその女の霊に打ちつけた。

「逃げろ!!」

霊がひるんだ一瞬の隙に逃げ出す5人。

「ありがとうございます跡部部長。」
「跡部スゲースゲー!」
「クソクソ、跡部のくせに美味しいとこ持ってきやがって!」
「ウス」
「あんな雑魚一匹にそんなに喜んでんじゃねぇよ。」
「え、・・・雑魚って・・・」
「アレは母親の霊じゃない。」
「・・・はっ?」
「つまり、ここには夢ちゃん一家の霊以外の霊たちもいるってことですね」
「あぁ。今までここで殺されてきた奴等だろうな。」
「えー!じゃぁ俺たちを殺そうとしてくる奴等がうじゃうじゃ出てくるの?」
「ありえねぇー!!」

『まてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』

「へっ、今度は俺がやっつけてやるぜ!って、なんかいっぱいいるぅ!」

見せ場を取られた向日はバッと後ろを振り向きテニスラケットを構える・・・
はずだったが、予想だにしなかった霊の数にやっぱり「逃げる」を選択した。

「なんで3体も!?」
「俺が知るかよ!とにかく逃げろ」
「次の角を曲がったら待ち構えて一斉に攻撃しましょう。
いつまでも逃げていてもらちがあきません。」






その頃の1階チーム
「なんだか上が騒がしいですね〜まさか激しく絡みあt・・・イタッ!」
「先輩二度と喋れなくしてあげてもいいんですよ?」
「お口にちゃっくしちゃう!もうちゃんイイ子だね〜ナデナデしたくなっちゃうでしょ?」
「鳳やれ。」
「はい。」
「だめ!!変わりにオッシーをどうにでもしていいので許して!ホラオッシー逝ってよし!」
「なんで俺やねん!」
「だってオッシー、私のためなら死ねるって言ってたもん。それが男のロマンじゃないですか。」
「とんだ勘違いッ!俺はそんなロマンの安売りはせん!」
「はぁー、もううるさいよオッシー。お口にちゃっく」
「お前が言うなお前が。」
「おねぇちゃんたちっていつもそうなの?・・・って、そろそろ喋るのも疲れてきちゃった・・・」

たちチームはなるべく食堂周辺を避けて宝探しをしようと、
今は食堂が比較的遠い大浴場にいる。
タイルが割れていたり、クモの巣だらけだが、一応お湯は出るようだ。

「はぁ・・・無駄にでけーな。」
「こんなとこ探しても何もでない気がしますけど。」
「何を言いますか!もしかしたら素敵な殿方の幽霊さんの裸体写真を撮れるやもしれないっていうのに!」
「自分ほんま不謹慎なやっちゃな・・・」
「フンッ。皆だってどうせ、あぁこんな大きなお風呂に素敵な女の子と入れたらぁ・・・ハァハァって思ってるくせして!ハァハァ」
「お前と一緒にすんじゃねぇよ。」
「そうですよ!自分は素敵な女の子というより宍戸さんと入りたいと思ってます!」

「自分等何アホなこといってんねん。こんな馬鹿デカイ風呂なんか燃えるわけないやん!露天風呂や!
ベストは夕焼の海が見える露天風呂や!そんで地平線に沈んでいく夕日を二人で見ながら、

『綺麗やで。あの夕日に負けへんくらい、お前は綺麗や。』
『侑士ったら・・・』
『愛してるで』

って言うのがホンマもんに決まってるやん!断じて宍戸とそんなことする気はない!」
「当たり前です。そんなことした日には俺が許しません。夕日と一緒に沈めてやりますよ。」
「その『侑士ったら・・・』の台詞は是非ともこの私が担当させていただきますね!」

「あー着いていけねぇ・・・」

まだまだ続く言い争いから離脱した宍戸はフラフラとその辺を見て回ることにした。
そういえば夢ちゃんは?と振り返るとあきれてモノも言えない顔で隅のほうに座っていた。
とりあえず、心の中で謝っておく。

「しかし、そのお宝ってのはどこにあんだよ。」

探し始めて30分。収穫はなに一つない。

「ハァ・・・ん・・・?」

ため息をついた宍戸は自分の肩に何かが落ちてきたことに気付いた。

「・・・ヤベェ・・・」

落ちてきたソレが何かを確認しなくても大体の予想は付く。
ホラー映画ではお決まりのシーンでこんなのを何度か見たことがあったから。
宍戸はゆっくりと上を見上げ、言葉を失った。

そこには笑った女がいた。

正確にはいたというより、へばり付いている。しかし女は一瞬にして消えた。

嫌な汗が流れ、直感的に危険が迫っていることがわかった。

「伏せろ!!」

叫んだと同時に走り出した宍戸は戸惑う3人を無理矢理伏せさせ、を抱くようにして覆いかぶった。
その瞬間、ピキピキッという音がしたかと思うと天井を飾っていたガラスが割れ雨のようにたちに降り注いだ。


はゆっくりと目を開けた。
静まり返る大浴場の中で何が起こったのかを理解するまでに少し時間がかかった。

これは霊の仕業に違いない。そして自分は宍戸に守られたのだと。

いまだ自分を守るように覆いかぶさる宍戸にあせったように声を掛ける

「リョ、リョウタン・・・?リョウタン?」
「・・・ってぇ・・・ひでぇ目にあったぜ。」
「だ、大丈夫なんですか!?」
「あぁ、まぁどうにかな・・・」

置きあがった宍戸を見ては顔を曇らせた。どう見たって大丈夫なんかではない傷がいくつもある。
いつもはふざけているだか、流石に自分をかばって怪我をした宍戸を見て胸が痛くなった。

「・・・私のために・・・」
「な、なんだよ!そんな顔すんなよ、別にお前のせいじゃねぇし。」
「ですが、こんなに怪我して・・・」

「俺らのことは無視ですかー」
「宍戸さんになんてことを・・・クソ霊が!」

見れば忍足や鳳も酷い怪我をしている。この中でかすり傷程度なのは唯一だけだ。

「ここを出て手当てをしましょう。それから・・・」

約束の一時間はあと10分で終わる。

立ち上がったの顔は、明らかに今までとは違うものになっていた。







あとがき

ちょ、宍戸と急接近かよっ!!