03
たちが客間に戻るとすでに一階を回っていた忍足チームは戻ってきていた。
どうだったかと跡部が問いかけた。しかし、忍足は言葉を濁した。
「なんかあったのかよ。」
「あったっというか・・・芥川先輩と向日先輩が・・・」
全員の視線が二人に集中した。居心地が悪いのか向日は俯く。
「・・・見たんだよ、女の子だった・・・」
「はぁ?」
「だー!!もー、幽霊だよ!!幽霊!!」
向日はヤケクソ気味に怒鳴り、言ったことを後悔するように肩を縮めた。
客間が一瞬のうちに静まり返る。
「オレここヤバイんじゃないかと思う・・・」
「見間違いなんじゃないんですか?」
「二人一緒になんてありえないC−!」
「ンフフ、ここはこの私に」
一触即発の場面に空気を読めないがポーズを決めてしゃしゃり出たのをさえぎったのは跡部だ。
せっかくの見せ場を取られたば跡部の後ろで「次なんかしたらカンチョーしますよ!!」と喚いている。
この場面でカンチョーを出すとは、流石頭が弱いなと全員に思われているなど、は夢にも思っていないだろう。
「岳人、滋郎、」
「なんだよ・・・」
「見間違いだ。」
「ぜってー見たんだよ!!」
「見間違いなわけねーもん」
「お前等と一緒にいて頭まで染めらちまったんだよ。わかったらくだらねぇーこといってんじゃねぇー」
跡部はそう言って部屋割りを決め、一人でさっさと割り振られた部屋へ消えていった。
暫く誰も動かなかったが、ノロノロと動き出した鳳に続いて他のメンバーも部屋へと入っていった。
残されたのはいまだ納得のいっていない芥川、向日との三人。
「跡部ひでーよ・・・」
「クソクソ、自分は見てないからってッ!!本当なのに!」
「わかりますその気持ち!あの泣きぼくろ引きちぎってやりたいです!」
当たり前のようにノッてきたに芥川と向日はギョッとした。
しかしはその様子を気にも留めず大きなソファーにどさっと腰を下ろした。
その拍子に埃が舞い上がる。
「安心してください、私は二人の味方です。何せ私も見ましたからね。」
「マジか!?」
「何でそれをもっと早くいわねぇーんだよ!!」
「さっさとこんな不気味なとこでようぜ。」
向日の発言には機嫌の悪い時の跡部にそっくりな顔をし、自分はこの屋敷から出る気はないと宣言した。
「ちゃんなにいってんの?ここお化け屋敷だよ!!」
「ジローちゃん!!私を誰だと思っているのですか!」
このままではの話が長引くと思った向日は適当に相槌を打ち、話をすすめた。
「私達で調べようじゃありませんか!!」
『えぇー!?』
「もー私さっきからワクワクドキドキですウフフ。ジローちゃんの寝顔より興奮します・・・ハァハァ」
「やめてちゃんキモイ」
とにかく、今夜皆が寝静まった後屋敷を三人で調査するということに決定した。
ここで大問題が発生した。
「ご飯はどうするんですか?」
全員が調理場へと集められ、緊急集会が始まった。
どうやら食材はあるようなので、誰が料理するか、ということが議題らしい。
会議が始まってすぐに料理未経験者が数人手を上げた。
跡部・向日・芥川・日吉・宍戸・の5人。つまりメンバーのほとんどが包丁すら握ったことがないドが付くほどの初心者。
ということで、樺地・鳳・忍足が調理担当に決まった。
料理が出来る間、他のメンバーは自室で待機。
「ここでグチグチ文句言っても始まらんなー、あー包丁握ったこともないなんてありえへんわ」
「先輩すでに文句言ってるじゃないですか・・・いや、でもほんともう人間じゃないです」
「・・・ウス」
「ですよねぇー跡部君とかあれ宇宙人ですよ、ほくろ星からきたホクリアンですよ」
突然聞こえた声に3人が一斉に振り返ると、そこには部屋にもっどったはずのが優雅にコーヒーなんぞ飲んでいた。
「なんでやねん・・・もっと使える奴やったらええのに・・・」
「ずいぶんお疲れのようですねぇ〜、殿方の疲れを癒すにはやはり女体が。今夜7時にお邪魔します。」
「じゃかましーわ、その疲れの原因はお前やっちゅーに・・・はぁアカン・・・」
そんな哀れな忍足を、鳳と樺地は巻き込まれないよう若干距離を置いて見守っている。
「先輩、手伝わないならせめて邪魔しないようにお願いしますね。じゃないとご飯にありつけませんから。」
「ねぇねぇカバディー、チョータローが私に冷たいんですよ・・・何故ですかねぇ〜・・・あぁ、なるほど、私のこと好きなんですね!!やぁ〜照れる」
「ちょ、今パリーンゆうたで!!長太郎が食器をパリーンって!」
「メガネ、黙っててくれます?」
「・・・え、オレが攻められるとこなん、ここ・・・」
一騒動あった末、の子守として忍足が起用された。
(※を手なずけたのは樺地です)
「オッシーはどう思いますか、アノこと。」
「オレいつまでその呼び方で呼ばれ続けるんやろ・・・」
「人の話し聞いてるんですか?貧乏のクセに」
「アホ!貧乏やない!」
「オーラが出てます、私には見えるんですからね、美輪さんのごとく」
「緑色の・・・って、なにボケさせてねん!!・・・え、なにその哀れみの目・・・」
「もーいいです、オッしーとはなしてても話が全然進まないんですもん。コレだから大阪者は・・・」
「聞こえてるで」
「でも、オッシー不憫だから、これ、あげますね」
「なに、これ」
は一枚のペナペナの紙切れを一枚忍足に差し出した。
それはお粗末な字で書かれていてまるでなに用いるのかがわからないが、これこそ立海の赤マント事件に活躍したの手作りお札だ。
一見効果もクソもないように見えるが馬鹿にはできない。
「ほんまにお札なん?」
「馬鹿にしちゃいけませんよ、それにこれオッシーにだけしかあげないんですからね。じゃぁ、わたし戻ります!!アデュー」
忍足は厨房から出て行くを見送り、お札をポケットに突っ込み調理を開始した。
時計の針が12時をさした頃、たちは行動を開始した。
まずは芥川と向日が女の子を目撃したという廊下へ向う。
「ドキドキするC−」
「お前恐くねぇーのかよ・・・」
「ひょーたまらん!!」
会話がかみ合わない三人はようやく目的地に到着した。しかし、コレといって変わったところは見当たらない。
ただ闇が静にあるだけ。
「じゃぁ、今度は私が女の子を見たところに行って見ましょうか・・・」
「さっさと行って終わりにしようぜ。」
「お化け屋敷みたいだね。」
「実際お化け屋敷だろーが・・・」
しかし、が女の子を見た場所にも、特にコレといったようなモノがない。
「なにか手がかりがあると思ったんですけど・・・ハズレでしたねぇ」
「・・・もういいだろ」
「オレもうねみーんだけど」
「ジローちゃんは小学生みたいですね、おねぇーさん色々教えてあげたくなるけど、また今度ね。
あの部屋だけちょっと見たいんです。」
「えー」
その部屋は目撃した女の子が立っていた場所のすぐ横の部屋。
は小走りで部屋の前までいくと、ドアノブに手をかけ静かに開ける。
「なんかあんのか?」
「・・・いえ、でもここ子供部屋です。」
「だからなんなんだよ。」
「わからないんですか?私達が見たのは女の子、子供の霊です。」
「あ、ここがその霊の・・・」
「確率は0じゃありません。」
広いへのなに大きなベット、隅にはドレッサーと玩具箱。
どれも埃をかぶって、ずいぶん昔からソノ役割を果たしていないことを物語っている。
「これはわたしの考えですが・・・ソノ女の子の霊は何かを訴えているんじゃないかとおもうんですね。」
「なにを」
「それを今から調べるんじゃないですか!あーあ、まったくお子ちゃまは1から10までいわなきゃわかんなんだから、ちょっと静にしてましょーねぇ〜?」
「クソクソ!あとで覚えてろよ!!」
「ねぇーちゃん、これ見てよ!」
部屋の中をあさっていたは自分を呼ぶ芥川の声に顔を上げた。
振り向くと芥川が写真たてを持っている。
ちなみに向日は入り口のところでキョロキョロしている。
臆病風に吹かれて一人部屋に戻ろうとしたのだが、それも恐くて結局何もせずに辺りを警戒しているというわけだ。
「あぁ!!この女の子って!?」
は芥川の持っている写真たてを覗き込んで声をあげた。
なぜなら、その写真には昼間見た女の子が写っていたからだ。
しかも、女の子の右側に氷帝の榊先生と渡り合えるほどダンディーな男の人、左側にはとても綺麗な女の人と、優しく笑っている青年が写っている。
きっとこの女の子の家族だろう。
その時、入り口にいる向日の悲鳴が聞こえた。
「ややややや、ヤベェぞ!!なんか来る!!」
急いで入り口から顔を出したと芥川は見た。
闇の中に揺らめく人影を。昼間見た女の子ではない。
泣き声に似た声を漏らしながら、確実にゆっくりとこちらに近づいてきている。
「逃げよう!!そんで皆起こしてこっから出よう!!」
「ダメ。今出たら見つかっちゃうよ」
突然聞こえた、ここにいる3人のものではない声にの背中を冷たい汗が流れ、
直感的にその声が昼間見た女の子のものであるとわかった。
あとがき
なんか来た!!
想像すると恐いかもしれん・・・