氷帝学園1年、、女。

部の先輩である、実は魔界から地球を征服に来た魔王なんだと噂の鳳先輩から
とても過酷なミッションを仰せつかった。





鳳先輩と私の関係の巻







「鳳先輩、奈々子・・・じゃなかったジョ、ジョセフィーヌには依然動きがないようです・・・」

部活終了後、レギュラー専用の部室の中で鳳先輩にミッションの進行業況を説明する。

「そう・・・ていうか、ちゃんいつになったらスムーズにジョセフィーヌっていえるようになるの?
そろそろ覚えないと馬鹿って呼ぶことにするからね、この馬鹿」
「は、はぁ・・・」

すでに言ってるじゃん腹黒がっ!?
と、思わず出そうになった台詞を飲み込んで、そこは大人らしく作り笑顔で答えようじゃないか・・・
それを見た鳳先輩の顔が

キモッ

と歪んでいたとしてもね。


「何だおまえらまだそのスパイごっこやってたのか?」
「ごっことは失礼ですねよ宍戸さん。
ちゃんにはスパイになりきってもらってるんですからそういう言い方は止めてください。
出来の悪さは別としても!いくら宍戸さんでも酷すぎますよ!」
「お前が一番ひでぇよ長太郎・・・」
「そんなことないっす宍戸さん!」
「そんなことあるだろうよ」
「これはアレです、愛情の裏返しというか。わざとけなしてやる気を奮いたたせるというか。」

話に割り込んできた宍戸先輩が言うスパイごっこというのが、まさしく「ミッション」なわけだが・・・

『鳳先輩の好きな女の子を偵察しろ』

これがミッションの内容。

ほんとどうでもいい。
こういう私情100%な、どう考えたって厄介なことに私を巻き込まないでください。
っていうのが本音なんだけどね、やっぱりホラ、さ、
はじめは笑顔で頼んできた鳳先輩の顔がさ、だんだんと般若のように変わっていくのを見てたら、
断れないよ。

だって私極度のチキンだもんね。

で、その片思いの子を偵察するに当たって名前呼んじゃアレじゃんね、ってことになって、
本名 伊藤奈々子さん(3年生)をジョセフィーヌって呼ぶことになったわけだけど、
恥かしいじゃん。そんなの!
だから、出来れば口に出したくない。

「じゃぁ引き続きちゃんとジョセフィーヌのこと見ててね。」
「りょ、了解しました」

素直に鳳先輩のいう事を聞く私に宍戸先輩はため息を付いた。

「お前さぁ・・・」

わかってます!!みなまで言うな!
そういう思いをこめて私は宍戸先輩の言葉をさえぎった。
こんなことしてたらパシリだっていうんでしょ。わかってますよぉぉぉぉぉ
わかっててやってるんだちくしょぉぉぉぉぉぉ

もし道端でホームレスのおじさんに急に「君達の関係は?」って聞かれても、
不良とそのパシリです。もしくは、主人と召使ですって、
ちょっと中学生らしからぬ答えをさも当然のように言わなきゃならないんだってわかってるよ。

でもわたしに拒否権はないからね。寧ろ人権がないからね。




で、今日もこうして自分の時間を割いてまで鳳先輩に与えられたミッションをクリアすべくジョ、
ジョセフィーヌを観察しているわけだがね。
もう3日も見続けて思うんだけど、ジョセフィーヌは観察して得るものもないような普通のテニス部ファンなんじゃないかな〜
好きな食べ物とか、好きなモノとか、誕生日なんかはすでに鳳先輩は知ってたし・・・
・・・あれ?今さらながら思うんだけど・・・何もテニス部の3年に頼めばいいんじゃ・・・
一年のあたしに頼むことじゃないよね?

てか、テニス部ファンなんだから鳳先輩が微笑めば一発じゃないの?


「どこのチビがうろちょろしてるかと思ったらじゃねぇか。」

鳳先輩の到底理解できない思考回路にショウト寸前、だって涙が出ちゃう。女の子だもん状態の私に
なんとも失礼な言葉を浴びせながら跡部先輩がやってきた。
ちっ、厄介なのがきたよコレ

「お前今舌打ちしただろ」
「いえ滅相もございません!そのようなことはまったく、ハイ!」
「わざとらしい奴だな。で、お前こんなとこでなにやってんだ?例のスパイごっこか?」
「あー・・・ハイまぁ・・・そんなところです・・・」
「おめぇーもよくパシられるやつだな。」

一番私をパシリにつかうあんたに言われたくねぇよ。このチャームポイントは泣きボクロ野朗が。
なんてまぁ口には出せませんけどね、一応心の中で思ってみるみたいな。

「伊藤奈々子、だっけか?」
「え?あぁ、ジョセフィーヌさんですか。そうですけど・・・・」
「一つ忠告しといてやる。」
「・・・?」
「あんまりその女には近づかねぇ方がいいぜ。顔はいいが、性格は最悪だ」
「・・・自分の事・・・」
「あ゛ーん?」
「いいいい、いえなんでもっ!!ご忠告ありがとうございます、それでは!!」
「おい、コラッ!」

思わず口が滑った!!ここは逃げるが勝ち。
跡部先輩の制止を振り切り私は自分の教室まで一目散に逃げた。



、ちょっとゴミ出してきといてね」
「えー」
「忍足先輩呼ぶw」
「行って来るねまゆ!」
「ハイハイいってら〜」

放課後、まゆちゃんがニコニコしてやってきたと思ったら、パンパンになったゴミ袋を差し出してこれだもん。
まったく、どいつもこいつも私を使いやがって!!
忍足先輩か跡部先輩の名前を出せばあたしがいう事聞くと思ってさ。いつか仕返ししてやるからな!!


「何このゴミの野朗クソ重いんですけど・・・ありえない・・・もう、くじけそうっ!!・・・って、あれ?」

独り言を言いながらゴミ捨て場まで来たわけですが、思いもよらずこんなところでジョセフィーヌを発見。
しかも男子生徒と一緒。雰囲気からして今まさに一世一代の大告白をされる瞬間らしい。(ジョセフィーヌが)
とりあえずモロに見まくるのはアレだから、影からこっそり覗き・・・じゃなくて観察することにした。

「あ、あの・・・奈々子さん、俺・・・俺ずっと前からあなたのことが好きでした!付き合ってください!」

なかなか素敵な男子生徒だし、こりゃ鳳先輩には残念なお知らせしなきゃな・・・そう思った直後、
ジョセフィーヌの口から信じられないような高笑いが聞こえた。

「アハハハハハハハ!!あんたばっかじゃないの!?マジうけんですけどぉ!!」
「え、な・・・!?」
「いるのよね、あんたみたいな奴。あんたみたいなレベルの男とあたしがつりあうと思ってんの?
マジうける〜。そこそこ顔がいいからって勘違いしないでよ。
まぁ、あたしとつりあうって言ったら、跡部君ぐらいじゃないかなぁ〜。
個人じゃ競争率高いから一応テニス部全体のファンって事にしてあるけど、他の連中とか正直眼中にないって言うか〜
特に二年とか普通にないんだけどぉ!」
「・・・」
「わかったらとっとと消えてくんない?目障りなんだけど。」

ジョセフィーヌなんかやらかしてるぅぅぅぅぅぅぅ!!
今まで普通の明るい美人な人だと思ってたのに、とんだ猫かぶり女だったなんて・・・
いくら鳳先輩に日頃虐められてるから仕返ししてやるぜウヒヒ。って思っててもこんな最低な女の人とくっつけるなんて、
流石に出来ない。

「鳳先輩に言わなきゃ・・・」

私はゴミ袋を残したまま、その場を後にした。部室にいるであろう鳳先輩に今見たことを伝えるために。

だけど、テニスコートまで来てさっきのよりショッキングな出来事に巻き込まれる羽目になった。

私の前に仁王立ちしているジョセフィーヌ。その眼光は鋭く、今にも襲い掛かってきそうなほどだ。

「あんた、さっきの見てたでしょ。」
「・・・な、何のことですか・・・?」

どうやら私の存在に気付いていたらしく、先回りして待ち伏せしていたようだ。
これから起こる事が容易に想像できる。
多分、口止めするきなんだ。どんな手を使ってでも。

目の当たりにする、女の醜い感情に身が縮み上がった。

「知ってるのよ。最近あんたが私のことかぎまわってるって。
どうせさっき見たことテニス部に垂れ込んでライバル消そうとしてんでしょ!」
「ま、まさか・・・そんなこと・・・」
「しらばっくれないでよ!!」
「!?」

怒りに我を忘れているのかジョセフィーヌが平手打ちを繰り出してきた。
もちろん、日頃玄兄に虐められているお陰で紙一重でよけることは出来たけど・・・
どうやら、ジョセフィーヌは私がテニス部ファンを消そうとしていると勘違いしているらしい。
まったく迷惑な!!

「マネージャーでちやほやされていい気になってんじゃないわよ!このブスが!!」

いつ誰がちやほやされたんですか!勘違いもはなはだしいよこの人!
だいたいブスとかもとからわかってますからね。

あぁ・・・こんな人を鳳先輩は好きなのか・・・

そう思ったら、なんだか無性に悲しくなってきた。
きっと鳳先輩はジョセフィーヌの表の顔に騙されてるんだ。

『特に二年とか普通にないんだけどぉ!』

そんなことを言われていたなんて知らないで、きっと今もまだこの人を好きなんだ・・・

「ブスは引っ込んでなっ!!」

ジョセフィーヌが飛び掛ってくるのがまるでスローモーションのように見えた。
あの女には近づかない方がいい。顔はいいけど、性格は最悪。
今さら跡部先輩の言葉を思い出しても遅いや・・・

あと数ミリでジョセフィーヌの平手が私のホホに真っ赤なもみじ模様をつけるという時、
不意にパチパチと手を叩く音が聞こえた。

「素敵な余興をありがとうございます先輩。」
「ちょ、長太郎!?」
「・・・先輩・・・」
「綺麗な顔して、実はえげつない性格してるんですね」
「・・・み、見てたの・・・?」
「えぇ、最初から全部ね。ちなみに最初からってゴミ捨て場のところからですよ。」

現れたのは鳳先輩で、ジョセフィーヌの顔はドンドン青くなっていく。
さまかね、全部見られてたなんてね。ご愁傷様ですよ。

「そ、そう・・・みてたの・・・アハハ・・・アハハハハハハハ!!」
「なにかおかしい事でも?」
「ううん。べっつにぃ。だからどうしたのかなって。」
「恐くないんですか?唯一あなたにつりあう跡部先輩に告げ口されるのが」

黒いオーラは出していないものの、いつも以上に毒舌な鳳先輩。
逆にそういうのなんか恐い。あたしだったら気絶するな・・・

「だってぇ、考えてもみなよ。
男の長太郎君に言われるのと、美人で色っぽいあたしに言われるの、どっちを信じるって言われたら。ねぇ」
「へぇー。でもそれ、見られてたら通用しないことですよねぇ。」

そう鳳君が言うと、なんと跡部先輩が現れた。しかも後ろにはレギュラー陣が勢ぞろいしてる。
流石のジョセフィーヌもコレにはお手上げで、口元が引きつってる。

「しっかりきかせてもらったぜ伊藤奈々子。残念だったな」
「クソクソお前マジ最低な奴だな!」
「顔だけ綺麗でも性格ブスはあかんわ〜」
「あんたみたいなの嫌いだC−!ちゃんに手出してたら殺すとこだったよね。」
「化けの皮がはがれたみたいだな。激ダサだぜ」
「お前みたいなの少女マンガに一人はいるよな。」
「最低・・・で、す」

「はっきり言って目障り」

「う・・・うわぁぁぁぁぁぁん」

鳳先輩のとどめの一言でジョセフィーヌは泣きながら逃げていった。

ちゃん痛いとことかない?大丈夫?なんかあったら俺アノ女のこと呪い殺すC−!」
「大丈夫ですから犯罪だけは起さないでください。」
「馬鹿だなお前。忠告してやっただろうか。」
「う・・・今さら後悔してます。」
「愛しのちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!心配したんやでぇぇ!!」
「止めろよがあまりのキモさに吐きそうな顔してるだろ!」
「えぇやん!今まで出番なかったんやから最後ぐらい!」
「お前の出番なんてなくてもいいんじゃね?」
「そんなキャラやったか宍戸ぉ〜!!」
「・・・大丈夫か。」
「あ、はい・・・日吉先輩」
「・・・今度何かあったら言えよ。・・・な、なにせ俺は王子様だからな。」
「えぇ是非そのときは頼みますね」(棒読み感は否めない)
「ウス」

こうしてミッションは私の頑張りも虚しく不発に終わるのでした。



ちゃん、今度はこの人を調べてもらいたいんだけど。」
「はっ!?ジョセフィーヌで懲りてないんですか!?」
「アレはアレ。コレはコレだろ。」
「・・・先輩・・・ちょっとくじけてみたらどうですか?少しぐらいバチは当たりませんよ?」
「何、意見する気?」
「ま、まさか・・・」
「だよね。ちゃんは俺の下僕だもんね」


私と鳳先輩の関係は、こうゆうこと







あとがき

下僕だってさ。ウッフーンじゃないですか?