08
「と、言うわけなので、今日は皆さんの協力が必要です。
午後7時校門前に集合だよ。これは可愛いのお・ね・が・い!!」

というメールがテニス部全員に届いたのは早朝の6時だった。 「と、言うわけ〜」の前にはきちんと昨日の出来事やが体験した詳細が書かれていたので、まぁわけがわからないっていうのは、脳みそが足りていない赤也ぐらいだろう。 ちなみになぜ集合が夜か、というと昼間は警察が調査をしているからだ。 夜は警察もいないし、例え見つかったとしても隠れやすい。

そして7時、校門にて

街灯に照らされた校門にはすでに真田・柳・柳生が集まっていた。 そこへ幸村、ジャッカルが合流。そのあと仁王、丸井、赤也が遅刻してやってきた。 あとはを待つのみ。

「仁王、あのメールに書いてあったことは本当か?」
「あぁ。全部本当じゃ。」
「信じられないな。この世に幽霊なんてものがいるなんて。てかさ、大体にして僕との約束を破るなんてちゃんなかなかだよねぇ。もしかしたらあの子脳みそないのかな?次ぎあったら手を出さない自身がないよ。フフフ」
「幸村。いくらアレに我慢ならなくとも手を出すのは感心しない。」
「はぁ?まさか僕に意見する気?いつの間にそんな悪い子になっちゃったんだい弦一郎。ん?」
「い、いや幸村・・・!別に意見と言うほどではないんだ・・・」
「二人ともふざけるのはよしてください。今はそんな時ではありません。はぁ・・・信じがたい・・・でも、さんだけならともかく、仁王君が言うんですから嘘ではないでしょうけど・・・」
「でも仁王はコート上の詐欺師だろぃ?」
「信じられんな。」
「おれもッス。」
「・・・つかよ、言いだしっぺのはまだきてねぇのか?」

時計の分針はすでに集合時間から15分経過していることを示しているが、が現れる気配はまだない。

「まったく、自分が遅れるとはたるんどる!!」

「おーい!!みなさぁん!!」

あれから20分後は闇の中から姿を現した。
遅刻した人間とは思えないほど満面の笑みを浮かべている。

「すみません、寝過ごしました!!テヘッ」

なぜかは探検隊のつなぎを着ているが、そこはあえてスルーする。 それにしても、いつにもまして一段とジャラジャラとあちらこちらにいろんなものをつけている。 全て霊に関するものらしい。

「ばか者が!!」
「ひぃぃぃ。弦ちゃん怒らないでくださいよ・・・
寝過ごしたのにはわけがあるのです。

あれは出掛ける準備をしていた時でした・・・」

は話し出した。 12時半頃が出掛ける準備をしていた時だった。 外はお日様ぽかぽかで、お母さんが布団を干している。 それを見たはポカポカ布団の誘惑に誘われ、物干し竿によじ登り布団と一緒に物干し竿に干されました。 思っていた以上にそれが気持ちよく、気付いたら夢の中へ・・・

「って、結局ただの寝坊ではないか!!話を聞いて損したわ!!」
「ぎゃ、女の子殴るなんて、男の風上にも置けないよ!!」

の頭に真田の天誅がヒットした。

「みなさん。そんな白い目で見ないでください!!私そういうプレイは好みじゃないです!!」
ちゃん、素直に謝ろうね?そして約束も破ったんだから地面に頭擦り付けてでも土下座しなよ」
「すみません皆さん。調子に乗りました。でも、聞いてください!!私のお昼寝はただのお昼寝にはおわりませんよ。」
「どういうことだ?」
「はい、夢を見たんです。」
「夢?」
「歩きながらお話しますね。」



学校の中は外よりも気温が低いのにもかかわらず、全員嫌な汗をかいていた。 (のピッキングで不法侵入) 真っ暗な校舎の中を懐中電灯だけで歩くのはあまりにも頼りない。

「その夢というのがまさしく、今、この状況と同じなんですよ。」
「んで、どうなるんすか?」
「このまま私達はこの階段を上るんです。」
「まぁ、この階段を上るのが、上の階に行く一番早い方法ですからね。」
「んで、左に進むんです。」
「ふ〜ん」
「夢の中の私達は屋上に向っていました。」
「おれ達は何処に向うんだ?」
「屋上です。題5の事件現場です。あそこはまだ調べてませんから。」
「つまりおれ達はが見た夢と同じ目的地に、同じ進路で向っているということだな。」
「で、夢ではそれから?」
「はい、足音が聞こえるんです。ペタッ・・ペタッ・・って。」
「んで赤マントが襲ってくるってオチっすか?」
「まさか、それまで同じになったりしてね。」

・ ・・ペタッ・・・ペタッ・・・

『!?』

どうやらそのまさかになるようだ。 全員が背筋に凍りつくような冷気を感じた。 後ろを振り向かずに逃げなくては!!という危険信号が脳から発せられている。 しかし、体は言うことを聞いてはくれなかった。 (昨日のプレッシャーとはレベルがちがかったんじゃ!! By,M・N)

「うらぁ!!こい、来てみろ!!こっちから探す手間が省けて助かっちゃうんだ、ぴょーん!!」

どういうわけかだけはこの空気の中でいつもと変わらぬ元気を見せている。 つまり鈍感ってわけです。 はガサゴソとパンパンなリュックの中をあさり、お目当てのお札を取り出した。

「テレレレッテレェー、お札ぁ!!」

メンバーたちは目だけをに向けて愕然とした。 あたかも効き目のあるお札ですよ、という得意げな顔をして出したお札は、の手書きだったからだ。 しかも汚い。これじゃぁ、効果は期待できない。

・ ・・ペタッ・・・ペタッ・・・・ペタッ

闇の中から「赤マント」が姿を現した。 この世の全てのものに対する憎しみと怒りが具現化したようなすさまじい形相。
怪しく光る包丁。 「赤マント」の由来となった真っ赤に染まった制服。 は身震いした。

「・・・て・・・やる・・・・」
「・・・なななな、なに・・・」
「・・ろ・・・して・・・る・・・」


「殺してやる!!」
『!?』

「悪霊退散!!!!!!!!」

低く地を這うような声を上げて飛び掛ってきた「赤マント」には手作りお札を投げつけた。お札はヒュッと風を切り「赤マント」に張り付く。 そのほんの一瞬だけだったが効果を発揮し、「赤マント」がひるんだ瞬間、メンバーの体を押さえつけていたプレッシャーが緩んだ。 その隙を逃さず、全員は駆け出す。

「走るんだ!!」

真田の声に全員夢中で走った。 後ろからは「赤マント」が追いかけてくる。捕まれば命の保証はない。
ここで知られざる身体能力を発揮したのはなんとだった。 スタートダッシュで出遅れたのにもかかわらず、前を走っていた柳生、幸村、丸井を牛蒡抜き。 しまいには先頭を走っていた赤也までもを抜かしトップに躍り出た。 (体育の短距離では確かクラスでビリだったのに。 By,B・M)

「散ろう。」




4階の廊下。 エンジンが切れたはへなへなと廊下に座り込んだ。 どうやら「赤マント」はまいたらしい。

「死ぬかと思った・・・」
「・・・先輩・・・なんでそんなに速いんすか?」

どうやらのあとには赤也・真田・ジャッカルが付いてきていたらしい。 流石に全員肩で息をしている。

「・・・コレからどうするのだ・・・」
「ブン太たちダイジョブかよ・・・」
「・・・すぐそこは屋上です。「赤マント」出てきちゃいましたけど、アレを退治する手がかりが見つかるかもしれませんので、
現場検証しておきましょう。」

屋上へ続くドアを空けると冷たい風が頬をなでた。






一方その頃
「幸村どうするッ!?」
「何処かへ逃げ込もう!!」

「赤マント」は幸村・柳を追いかけていた。 幸村たちの体は限界を訴えているが、実体のない「赤マント」は息を乱すことなく走り続けている。

「殺してやる!!!!」

「あそこだ幸村!!」

二人は美術室へ逃げ込んだ。そこなら出入りする扉も一つしかない。 入られたら終わりだが、侵入を防げれば身の安全は確保されている。 幸村と柳は中にあった机や椅子でドアが開かないようにした。 念のためにと二人で両脇からドアを押さえつける。 きっと、狂ったあの「赤マント」が信じられないような力でドアを開けようとしてくると、身構えて。 しかし、待てどもそんな衝撃は来なかった。 それどころか「ちきしょう!!」となぜか悔しがっている声が聞こえ、暫くすると、 美術室から遠ざかっていく足音だけが聞こえてきた。

「いったか・・・?」

柳は額に光る汗を袖で拭った。

「しかし、以外にあっさり諦めてくれたな・・・」





仁王・丸井・柳生のその頃
静かな図書室に3人はいた。

「逃げ切ったな・・・」
「皆さん無事でしょうか?」
「おい仁王、あれはなんだよ!!」
「・・・なにって、赤マントじゃろ?」
「嘘付け、あれの何処が女子生徒だ!!」
「しょうがない。女子っちゅうもんは恐ろしい生き物なんじゃよ。」
「私は女性というものをまだ理解していなかったようです・・・」

そのとき、静かな図書館のドアをダンダンと誰かが叩いた。 三人はびっくっと、肩を震わせた。 もう見つかってしまったのかと丸井は半分腰を抜かしている。

「赤マントか!?」
「違うおれ達だ!!空けてくれ!!」
「真田!!」

たちが合流した。 皆走ってきたらしく荒い呼吸を繰り返している。

「皆無事か?」
「大丈夫だ。幸村たちは一緒じゃないのか・・・」
「そっちもか・・・」

もはやは壁にもたれかかってデローンとなっている。

「あ、さん清め塩は持っていませんか?」
「何に使うんすか?」
「部屋の四隅に置くと結界になると聞いたことがあります。」
「そうなのか。」
「・・・えぇ・・・たし、かに、そーです。たしかこの、リュ、リュックに・・・」
「・・・大丈夫かよ・・・」

「仁王、丸井、柳生、調べて欲しいものがある。」
「なんじゃ?」
「この学校で過去に自殺した生徒がいるかだ。」
「自殺?」
「さっき屋上へ行ってきた。そこでがまた映像を見たらしい。」



「赤マント」の目線では、屋上から今にも飛び降りるところだった。 飛び降りる瞬間、髪の毛の先からつま先まで、全身を怒りと、憎しみと、悲しみと、苦しみとが支配し、 今まで「赤マント」を虐めてきたものの顔や、過去までもがフラッシュバックした。 たぶんはそのことを一生忘れられない。 気が付いたは、危うく屋上から飛び降りようとしたところを間一髪、真田に助けられた。 そのときは無意識のうちに涙を流していた。

「赤マントの正体は、昔虐めにあって飛び降り自殺した立海の女子生徒です!!」
「その新聞記事がないか探すということですね?」
「はい!!何かつかめれば成仏させることが出来るかもしれないので。」
「・・・そんな過去を持つ幽霊を退治するなんてなんかかわいそーだしな・・・」

しかし、丸井のそんな慈悲の心はあっさりと裏切られた。 「赤マント」の由縁となった真っ赤に血に染まったセーラー服を着た幽霊が 「殺してやる!!」といいながら7人が集まるこの図書室にやってきたのだ。 「赤マント」の目はギラギラとたちを睨みつける。

「嘘だろ・・・どうすんスか先輩!!」
「まだ、いい作戦もうかんでないちゅうに・・・」

「赤マント」と対峙する中真田が声を張り上げた。

「赤マント!!おぬしに一言物申したいことがある。」

「赤マント」の殺意に満ちた目が真田に向けられた。

「お主の持つ弱い心のために何人もの罪のないものが被害を受けている!! 自分が受けた屈辱のために、他人を傷つけるなど言語道断!!
たるんどる!!さっさと成仏せい!!」

しかしこの言葉が「赤マント」を逆上させた。

「私の気持ちなど誰にもわかりはしない・・・ 憎い・・・憎い憎い憎い憎い憎い!! お前達を殺してやるぅぅぅぅぅぅぅ!!」

「赤マント」が包丁を振り上げ真田に襲い掛かった。 真田は日頃の鍛錬の成果で間一髪でよけれたが、「赤マント」の動きは普通では考えられないほど早く、 普通に生活している者では到底かわしきれるものではない。他の6人はクモの子を散らすように逃げ出した。 あの真田もさすがに危機感を持ったのか少し出遅れて逃げ出したほどだ。

「逃がさないぃぃぃぃぃぃ!!」







あとがき

武士です、真田は