03
放課後、部活のためにジャージに着替える真田に立海のペテン師仁王がニヤつきながら話しかけた。
「真田、お前さん今日珍しく女子と歩いてたそうじゃな。しかも楽しそうに。」
「何?」
これには部室にいたメンバー全員が驚いた声を上げた。
といっても、情報の元出であるデータマン柳や、大魔王幸村は別として。ちなみに赤也は宿題を忘れたために居残りでまだここにはいない。
「マジかよ、やるじゃねぇーか真田!!」
「堅物真田がな・・・信じらんねぇぜぃ」
「驚きですね真田君。」
「目撃情報は多数だ。100%間違いない。」
「女でも出来たんか?」
「フフ、皆で攻めちゃ弦一郎がかわいそうだよ?で、そのこは誰なの?」
「どこの誰がどのように見てあの状況を楽しそうなどど言ったかは知らんが、一方的に絡まれてただけだ。」
もちろん、その女子というのは紛れもなくのことである。
さっさと始めるぞ、と言った真田の言葉に「ひゅーひゅー」なんぞと小学生のようなチャカを入れつつも素直に従う部員達。
しかし、普段アレだけ隙のない真田をいじくれる機会を他のメンバーが逃すはずもなく、何かにつけ女子・つまりはのことを持ち出すのだった。
一方その頃、
「ありぃ〜?やっべ、テニスコートへの行き方教わった通りに来たのにな・・・プールに来ちゃった・・・」
昼間クラスの女の子にテニス部レギュラー陣は半端なくかっこいいとの情報を入手したは、テニスコートの反対側のプールに来ていた。同じクラスのみっちゃん(友達第一号)から、40分もイラスト付きの説明を受けて来たのにも関わらず、だ。
方向音痴もここまで来るともう救いようがない。
しかしは諦めない。身に着けている数々のアクセサリーに神経を集中させながら、
「神様、仏様、ご先祖様、宇宙人様、幽霊様、美輪様、どーぞ私めをテニスコートへお連れくださいませ、○※#■!>ゞ?・・・」
と、わけのわからん呪文をとなえると、あら吃驚、願いが・・・
「なに、あんたテニスコートに行きたいわけ?」
かなったし。
声を掛けたのは赤毛の男子生徒。髪型がまるでわかめ。
の呪文が効いたのだろうか・・・
「うっひょー!!これまた素敵な殿方ですこと!!ぐっしっし」
「うわ、変な女・・・声なんてかけなきゃよかったよ」
「あのね私テニスコートへ行きたいんです。素敵なわかめ君案内してくれますか?」
「はっ?俺わかめじゃなくて切原赤也。2年テニス部エース。次わかめって言ったら潰すよ?
まぁ、連れて行ってやってもいいけど。あんた、なまえは?はじめて見るんだけど。」
「私、転校生なんです。11月6日生まれのさそり座、皆のアイドルといいます!!」
「ゲッ、マジで?転校生ってことは3年じゃん!おれより年上なわけ?みえねぇーわ」
「むっ。見えないですと、わかめ君。次ぎ言ったら犯すよ?へへへ」
「ま、マジかよ・・・」
と、まぁこんな感じで二人はテニスコートに出発したのだ。
後にわかったことだが、赤也は自分がなぜプールの前を通って部活に向おうとしたのかわからないらしい。やはり、コレはあの呪文の力・・・
スコーン、パコーン
ボールを打つ音、練習に燃える部員達の声、そしてミーハーな女子生徒達の黄色い声援。
は猛烈に感動していた。ちょっと危ない感じにハァハァ息も上がり、頬も上気してる。
それを横目で見ていた赤也は、何かとんでもないようなものを連れてきてしまったのではないかと罪悪感にさいなまれていた。
「あ、あの・・・先輩、おれ真田副ぶちょ呼んでくるんで、ここで待っててもらえますか?」
「ガビーン、冗談じゃないですよ、わかめ少年よ。
練習に集中する弦ちゃん。後ろから近づく影。あ、もちろんその影とは私のことですよ。
それに弦ちゃんは気付かない。そしてその影は弦ちゃんの耳元で・・・うーらーめーしーやぁー。
ってのが私の作戦なんです。呼んできちゃ意味無いじゃないですか。これぞ、オカルトジョークッ!!」
身振り手振りで説明するに、赤也は脱力した。この人普通じゃない・・・激しく帰ってもらいたい。
しかし、がここまで来て引き下がるような人間じゃないということは、この短時間で立証済み。
(まぁいろいろあったんだよ。この10分程度の間に)
「せんぱーい、頼みますよ!!みんなの練習の邪魔したら、おれが副ぶちょに怒られんスよ!!」
「うぅ・・・先輩可愛い後輩の頼みには弱いんですよねぇ・・・しょうがないなぁ。私大人だから待ってるね。」
「しょうがないはこっちの台詞だよ・・・」
「なんか言いました?」
「何でもなっス。すぐ呼んで来るんでほんと、大人しく待っててくださいね。」
「ホーイ」
「なにをしているのだこのばかものがぁ!!」
「うひー、弦ちゃんがご立腹だ」
今は真田の真正面の地面に正座で座らせられている。
そして真田の手にはラケットの代わりに竹刀が。
理由は簡単。が赤也を待っている間、勝手にコートにはいって一年生の指導に当たっていた柳生のお尻を触ったこと。真田に言わせればなんと破廉恥な!!
「ふざけるな。おれは何をしていたのか聞いているのだ。」
「えー、なにって弦ちゃんに会いにきたに決まってるじゃないですかー」
「ではなぜおれに会いに来て柳生のしりを触らなければならんのだ!?」
「まーまー弦一郎、相手は女の子なんだから。」
「ブーブー!!」
止めに入ったのは魔王の幸村。
はその後ろで真田にブーイングを飛ばしている。
そしてニヤリとして幸村のお尻をさりげなくタッチ。
「ちゃん、いいかげんにしよーねぇー?」
「違うよユッキー、触診だよ。病気とかなったら大変じゃん!決してやましい心とかないもん!」
魔王におさわりとは、度胸があるのか馬鹿なのか・・・
ちなみに、はもうすでにテニス部レギュラー陣とは対面済みである。
・・・そこでもひと悶着ありましたよもちろん。
んでその対面済みのメンバー達は、と真田と幸村の成り行きを見守っている。
というか呆れてみてる。赤也にいたっては、おれはなーんもかんけいないっスって顔をしている。
「ってゆーか、お前ほんと変なやつだな。」
「女性なのにはしたないですよ。」
「面白い奴じゃ」
「理解できねぇーよ」
「やだやだ皆にそんなに褒めたら照れちゃうな〜グフフ」
ブン太、柳生、仁王、ジャッカルがそんなことをいうなか、一人だけこんなことを言うものがいた。
「ところで君はなぜそんなアクセサリーを身に着けているんだ?」
「確かに。ジャラジャラいってるよね。」
「あぁこれですか?」
「お前に会った時おれも聞こうと思ったんだが何せ魔法が解けると帰ってしまったからな。女とはなかなか面倒なモノなのだな。」
(お、おい真田がなんか変なこと言ってる・・・)
(魔法って・・・部長先輩の言ったこと鵜呑みにしてんですかね・・・)
(やめんしゃい二人とも。アレでも真田は真面目じゃきー)
「これは悪い霊から守ってくれるお守りなんです。あとこっちは霊道を作りやすくするためのブレスレットだしー」
「さん違いますよ。それが何かなんて見れば一目瞭然です。柳君が聞いてるのは何故そのようなモノを身につけているのかという事です。」
その言葉には腕組みをして怪しく微笑み始め、日曜日の戦隊者よろしくいきなりポーズを決めだした。
「ふっふっふっふっ。ついにそれを語るときが来ましたか。いいですか皆さん。
ある時は誰もが振り向く可憐な女子中学生。又ある時はこの世を彷徨う幽霊達の救世主。
我を呼ぶ声あるならば、例え火の中水の中、駆けつけるのが私の定め。
そう、人呼んで怪奇レンジャーとは私のことよ!!」
「「「「「「「「・・・・」」」」」」」」
「つまりはミステリーオタクなのです!!」
今やコート内は静寂に包まれている。誰も喋ろうとはしない。
たっぷりと一分間の沈黙を破ったのは幸村だった。
「つまりはそういう怪奇現象とか、幽霊のことなんかに詳しいっていう事だよね?」
「ハイもちろん!!三度の飯よりミステリーです!!毎日毎日そこらに転がってないか探してるぐらいなんですよ!」
「ならちょっと相談したいことがあるんだ。いいかな?」
「なんですか?」
そして幸村はゆっくりと口を開いた。
「今、立海に起きてるおかしな事件のことなんだけど・・・」
あとがき
さぁ、やっと本題に入れそうです